この記事でわかること
- 「ねじれ国会」とは何か・なぜ起きるか
- 日本でいつ起きたか(主要な時期と政権)
- 政治がどう止まるか・どう動くか
定義
ねじれ国会(逆転国会とも)とは、衆議院で与党が過半数を持ちながら、参議院では野党が過半数を占める状態のこと。
日本では衆参両院で異なる多数派が生まれることがあり、これが「ねじれ」と呼ばれる。
なぜ「ねじれ」が生まれるのか
- 衆議院と参議院は選挙の時期が違う(衆院は解散があり、参院は3年ごとに半数改選)
- 政権の支持率が下がったタイミングで参院選が重なると、与党が参院で過半数を失う
- 法案は両院の一致が必要なため、参院で野党多数なら法案が通らなくなる
日本での主な発生時期
| 時期 | 政権 | 参院選の結果 | 解消方法 |
|---|---|---|---|
| 1989年〜 | 竹下・宇野→海部政権 | 自民惨敗(リクルート事件・消費税導入) | 1993年非自民連立政権成立で状況変化 |
| 1998年〜 | 橋本政権 | 自民惨敗(金融危機・景気悪化) | 橋本辞任→小渕政権で連立組み替えへ |
| 2007年〜2013年 | 第1次安倍→福田→麻生→民主党政権 | 自民大敗(安倍政権への不満) | 2012年末に自民大勝・2013年参院選で自民が参院でも過半数回復 |
| 2010年〜2012年 | 菅→野田政権(民主党) | 民主惨敗(参院選) | 2012年末の政権交代で解消 |
| 2024年〜 | 石破政権 | 2024年衆院選で自公が少数与党に | (継続中) |
最も深刻だったのは2007年〜2013年の約6年間。この間、参院での法案否決が相次ぎ、「決められない政治」と批判された。野党が参院で法案を否決→衆院で3分の2以上の賛成で再可決という「衆院再議決」が51年ぶりに使われた。
「ねじれ」が政治に与える影響
法案が止まる仕組み
法案の成立ルート(通常)
衆院委員会 → 衆院本会議可決 → 参院委員会 → 参院本会議可決 → 成立
ねじれ時の「参院否決」ルート
衆院可決 → 参院否決 → 廃案
例外:衆院で3分の2以上の賛成 → 再可決で成立(難易度高)
予算は止まらない
予算案は参院が60日以内に議決しない場合、衆院の議決が国会の議決とみなされる(「60日ルール」憲法60条2項)。予算は参院で否決されても成立する。
国会同意人事は止まる
日銀総裁・NHK経営委員・公正取引委員会委員長など「国会同意人事」は両院の同意が必要。ねじれ状態では野党が「同意しない」ことで政府の人事を止められる。
探求メモ
ねじれ国会は「政治の停滞」として批判されがちだが、別の見方もできる。参院が衆院の多数派チェック機能を果たしているという意味では、二院制の本来の役割を発揮している状態とも言える。特定の政権が暴走しにくくなるという効果もある。「決められない」と「慎重に決める」の違いは、何を優先する価値観かによって変わる。